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東京電力福島第1原子力発電所で事故が相次いだことを受け、全国の電力会社が原発の安全対策強化を急いでいる。東日本大震災の想定を超える規模の津波を教訓とし、防波堤を高くしたり、非常用電源の設置台数を増やすなど“鉄壁”の防御が欠かせないと判断しているためだ。東電の事故で安全基盤が揺らぐ中、原発は電力の安定供給に不可欠との認識から、安全確保に万全を期して地元住民らの理解を得たい考えだ。
中部電力は29日、浜岡原発で地震や津波を想定した総合訓練を実施した。大規模な地震に伴う津波で原発構内が浸水し、炉心などを冷やす電源が失われたという想定で、発電車へのケーブル接続や原子炉建屋の注水口に消防車のホースをつなぎ注水する手順などを確認。協力会社も含め約140人が参加した。
施設面の対策として、同社は2〜3年以内に浜岡原発の海側に海面から高さ12メートル以上の防波壁を設置。防波壁は、砂丘と原発の間に1.5キロ程度にわたって敷設し、高さは海面から12メートル以上、原発敷地面から4メートル以上とする計画だ。
東電の福島第1原発では、地震と想定を超える10メートル以上の津波に襲われ停電し、原子炉を冷却するポンプが停止。津波で非常用ディーゼル発電機も故障し、燃料の一部が溶け放射性物質が漏れ出る事故を起こしたことを受けた措置だ。
中部電力に限らず、津波などへの対応は各社が急ピッチで進めている。
「予算を最優先に確保して、徹底的に安全性を高めたい」。関西電力の八木誠社長は、福島第1原発の事故を踏まえ安全確保が最優先課題と強調する。
同社は東電の事故を受け、同社の原発が集まる若狭地域に19台の電源車を追加し、合計22台設置することを決定。6月をめどに冷却用海水を送る仮設ポンプも計70台常設する。トータルの投資額は500億〜1000億円に達する見込みだ。
◆信頼回復へ地道な自主対策
「エネルギーセキュリティーの確保や地球温暖化防止のためにも(原発は)必要な電源」。こう話すのは中国電力の山下隆社長だ。原発は発電コストが石油火力の半分以下で、発電時に二酸化炭素(CO2)を出さないため、今後も経営上、欠かせない電源との見通しを示す。
原発運営への地元の不安が高まる中で理解を得るため、同社は島根原発で追加の津波対策を講じる。同原発は海面から高さ8.5メートルの位置にあるが、応急措置として原子炉建物の鉄製扉の水密化、非常用電源車の配備を進め、15メートルの津波にも耐えるようにする。
一方、東北電力は東日本大震災で津波をかぶりながら、安全に冷温停止した女川原発で早期に合計4台の電源車を配備するほか、東通原発にも同3台を配置する。
また、海水をくみ上げるポンプの駆動用モーターの予備品も確保するとしている。
九州電力や北海道電力、四国電力も非常用電源車や海水ポンプの導入などを進めており、8社の緊急対策が出そろった形だ。
ただ、足元では原発稼働や建設計画の停滞は避けられない。関西電力は定期検査中の美浜原発1号機、高浜原発1号機について、追加検査を実施するため再起動時期を2週間延長したほか、中国電力も山口県で計画中の上関原発について住民への説明を優先するため、今月15日から一時中断している。
政府は、福島第1原発の事故を受け、原発に対する安全基準を一段と引き上げる方針を示している。
原発に対する“安全神話”が崩れる中、電力各社は国の新たな指針が出る前に自主的に安全対策の向上を進め、地道に信頼回復を図りたい考えだ。(今井裕治)
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日産自動車の志賀俊之COO(最高執行責任者)は29日、フジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ、東日本大震災の影響で停止している国内の完成車組立工場の操業に向け、「部品メーカー各社に4月11日をめどに部品を納入するよう要請した」と述べ、順調にいけば4月中旬に本格的に再開できるとの見通しを明らかにした。業績への影響については「今期(2011年3月期)予想の下方修正はない」と語った。
[写真]いわき工場を視察するカルロス・ゴーン社長
国内の自動車各社は、震災で東北地方の部品メーカーが甚大な被害を受けたことで部品を調達できず、震災直後に完成車組立工場の稼働をほぼ停止した。
日産は在庫部品を使って生産を再開したが、限定的な操業にとどまっている。ただ、志賀氏は「復旧作業が本格化し、1週間あれば稼働が可能になるといった部品メーカーも増えている」と説明。5月までの本格生産は困難との見方もあったが、部品調達にめどがつき、完成車生産を前倒しで本格再開する見通しが立ったことを強調した。
一方、操業停止による業績への影響については「減産の影響は国内にとどまる」として、予想の下方修正を否定。売上高8兆8000億円、営業利益5350億円、最終利益3150億円を見込む11年3月期の業績予想を維持する考えを示した。
日産は1月に中国で投入した新型「サニー」の販売が好調に推移するなど、拡大する新興国需要を順調に取り込んでいる。さらに、国内から海外の生産拠点に輸出する部品を船便から航空便に切り替えるといった措置で、海外生産への影響を抑えており、国内生産の停止をカバーできる見込みだ。
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日産自動車のカルロス・ゴーン社長は29日、東日本大震災で被災した福島県のいわき工場(いわき市)を視察し、同工場が「4月中旬から一部操業を開始し、6月初めにフル操業になる」との見通しを語った。東京電力の福島第1原子力発電所事故を受け、同工場を撤退するとの懸念には「いわき工場の復活は、いわき市の復活にもつながる。撤退はない」と否定した。(平尾孝、阿部賢一郎)
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